1つしか食べない

食べるということは、人間にとって当たり前の行為で、誰でもできるものだと思っていました。しかし、私が保育士として経験してきた中に、食べる楽しみを知らないお子さんがいました。2歳児A君。一番最初に、気になったのは、表情がないということでした。

両親の離婚で、A君は1歳の時に父方の祖父母夫婦に預けられました。突然の子育てに祖父母は驚きました。しかし、可愛がっていました。ところが、預けられた時からすでにA君はごはんしか食べない子どもでした。1年間がんばってみました。しかし、どうにもいかないので、保育所に預けることを決めました。

障害のため、こだわりが強く1つのものしか食べないというお子さんもいます。しかし、A君の場合は違いました。そこで保育所では、数人いる担任から1人がA君専属の保育士になりました。A君を抱っこしたり、話かけたりしてコミュニケーションをとり、少しずつ信頼関係を築いていきました。

それと同時に、ごはんやおかずをおいしそうに食べるのを繰り返し、繰り返し見せていきました。しかし、そう簡単にはごはん以外のものは食べてくれませんでした。他の子どもが昼寝をしている間、A君に向きあい根気よく食べさせていました。もちろんA君は大騒ぎ、泣きながら言葉にならない声をあげていました。

5か月は、ずっとその調子でした。しかし、繰り返しというのはすごいものです。だんだんとA君も保育士になついていくと同時に、ごはん以外も食べれるようになってきました。そして小学校にあがる前には、野菜でもお肉でも何でも食べれるようになっていました。大事な時期に経験をしないでいると、とても大変なことにつながっていくことがあるのを知りました。

親の食事に関するこだわり

親の食へのこだわりは子どもに、深い影響をもたらします。1歳児B君。ご両親は、健康について普段から考えておられるようでした。母親は、自分も太りたくない。そして、わが子にも、太ってほしくないと強く望んでいました。その結果が、1日3食のうち朝をメインの食事にするということでした。

ママと元気な娘の育児日記
しかも、かなりの豪華メニューでした。母親は朝からシチューやハンバーグ、炊き込みごはんや鶏肉の照り焼き、ほうれん草のおひたしなどを毎日作って家族に食べさせていました。 しかし夜は、一口おにぎり1つ、卵焼き1口といったメニューがB君のノートに、書かれていました。ひどい時は、食べないこともあったようです。

これで、あのよく食べるB君が満足できるのかと心配もして、話あったこともありました。B君の給食と3時のおやつの食べ方については、凄まじいものがありました。空腹の時間が長いということからからきたこだわりです。朝になったら、たくさん食べれるのですが、さすがに空腹の夜は辛かったのでしょう。

それに、朝の豪華メニューも並べてあるだけで、本当にそんな種類を満足いくだけ食べたのかは定かではありません。ですから、保育所の食事こそきっちりと食べれる食事だったのです。B君は、あまり噛まずに飲み込むようにして食べていました。保育所生活に慣れるとわかってくるのですが、おかわりは早い者勝ちです。

早く食べるとおかわりにありつけて、食べるのが遅いとおかわりはなくなってしまいます。そのためには、どの子よりも早くたべて、何回もおかわりをせがめばいいのです。他の子どもが食べなければ、その分おかわりはたくさん自分にまわってきます。1歳児でも、B君にはそれがわかっていました。ものすごい食へのこだわりを見た1年でした。

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